119番の破綻と民間救急の導入

東京消防庁の発表によると、平成17年の東京消防庁管内における救急出動件数は69万9971件(45秒に1回の割合!)に上り、現在の救急体制の破綻がいよいよ現実味を帯びてきました。実際、救急車が出動してから現場に到着するまでの平均時間は6分30秒(平成17年)となり、5年間で1分も延びたことになります。

救急車をタクシー代わりに利用する、(軽症とわかりながら)夜間・休日で診察時間外のため救急車を利用する、といったような不適切な利用が出動件数増加の原因に挙げられ、これにより本当に救急車を必要とする事故が発生した場合、遠くの救急車が出動することになり、到着が遅れ、救える命が救えなくなるおそれが出てきました。

そこで、東京都では“救える命を救いたい”というスローガンのもと、緊急性の高い患者を優先させるため、全国に先駆けて平成16年10月から緊急性の低い患者の搬送に際し、民間の患者等搬送事業者(以下、民間救急)を案内する民間救急コールセンターの試験的な運用を開始、さらに平成17年4月からは(財)東京救急協会による本格的な運用を開始しました。

民間救急ってそもそも何?

民間救急という言葉は聞いたことはあるけど、具体的に何をしてくれるのか、どういった会社があるのか、どういうときに利用するものなのか、救急車とはどう違うのか、などの詳しいことはよくわからないという方が大半なのではないでしょうか。

民間救急とは簡単に言ってしまえば、民間の事業者が搬送用自動車を用いて緊急を要しない患者を搬送する事業のこと [※1] ですが、これだけではさっぱりわかりません。もう少し具体的にみていきましょう。

救急車とはどう違う?

その名称からすると、まるで民間企業の救急車という感じがしますが、業務内容は全く異なります。主に次のような違いがあります。

  • 医療法や医師法に触れる医療行為を行うことはできない。 (応急手当のみ可)
  • 救急走行ができない。 (赤信号では必ず停止、法定速度遵守)
  • 緊急事態に対応するものではない。 (事前予約が一般的)
  • 利用時間・距離等に応じた料金がかかる。
  • 依頼者の指定場所に患者を搬送する。 (病院以外への搬送も可)

ポイントは医療行為ができないことと緊急事態に対応するものでないことでしょう。搬送中に患者の容体が急変し、緊急を要する事態になったたときには救急車を要請するそうです。

乗務員と車内設備は?

通常の搬送では、1台につき乗務員2人以上とすることが義務付けられています。乗務員は以下のいずれかに該当する人です。 (「東京消防庁民間患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱」より抜粋 [※1]

  • 満18歳以上の者で、患者等搬送業務員基礎講習を終了し、適任証の交付を受けた者
  • 満18歳以上の者で、医師、看護師、准看護師、保健師、助産師、医学士、看護学士等、前(1)に掲げる者と同等以上の知識及び技術を有する者として救急部長(以下「部長」という。)が認め(特例適任)、適任証を交付した者

搬送用の自動車については次のような規定があります。 (「東京消防庁民間患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱」より抜粋 [※1]

  • サイレン及び赤色灯の装備をしないものであること。
  • 十分な緩衝装置を有するものであること。
  • 患者等を収容する部分は、ストレッチャー又は車椅子を1台以上収容できる容積を有するものであること。
  • 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
  • ストレッチャー、車椅子等を、車体に確実に固定できる構造であること。
  • ストレッチャーは、患者等固定用ベルトを有するものであること。
  • 携帯電話等、緊急連絡に必要な機器を有するものであること。

以上は最低限の規定で、実際にはこれらの設備以外に、酸素ボンベや人工呼吸器などの応急手当用器具を備え付けています。

次のページでは気になる料金や利用方法について見ていきましょう。

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[※1]
詳しくは東京消防庁ホームページにある「東京消防庁民間患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱」を参照して下さい。直リンク禁止のため要綱のページにリンクを張ることはできませんが、「東京消防庁Webサイトトップページ→安心・安全→救急アドバイス」とリンクをたどって頂けるとたどり着けます(2006年12月現在)。

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